2025.11.17
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【論文】広島大学(現 広島西医療センター) 平塩秀磨先生らがBRIGHTEN研究のサブ研究として実施した、慢性腎臓病(CKD)患者へのダルベポエチンアルファ(DA)の投与量とのタンパク尿の減少が関連することを示した研究がTRI医学統計グループの鍵村達夫を共著者としてNephrology誌に掲載されました。

赤血球造血刺激因子(ESA)の投与と尿タンパクの抑制の関連する可能性は前臨床研究では検討されているが、大規模な実臨床現場からの情報は十分にない。本研究では、BRIGHTEN研究(DA製剤が投薬された保存期慢性腎臓病患者を対象とした観察研究)のデータを用いて、DA製剤が慢性腎臓病(CKD)患者のタンパク尿の減少に関連するかどうかを検討したものである。DA治療を受けた患者1161名を解析対象(糖尿病性腎疾患(DKD)307人、腎硬化症 286人、慢性糸球体腎炎 285人)とし、DA製剤投与量と12週後の尿中タンパク・クレアチニン比(UPCR)の変化の非線形関係を推定した。その結果、UPCRは、DA用量が50μgを超えると低下する傾向が認められ、特にDKD群で顕著であった。DA用量とUPCR低下の傾きは 、ESA抵抗性が高い群と低い群で有意に異なっており(p=0.009)、特にDKD患者で顕著であった(p<0.001)。この差は、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系阻害薬の有無や試験期間中の血圧変動などの因子を調整した後も維持された。

TRIはBRIGHTEN研究のプロトコル開発支援、データセンター、スタディマネジメント、統計解析において支援を行なっており、BRIGHTEN研究験に続く本サブ研究では統計解析の面で支援を行ないました。

Shuma Hirashio, Takao Masaki, Tatsuo Kagimura, Ichiei Narita. Potential Association Between Darbepoetin Alfa Administration and Reduced Proteinuria in Real-World Clinical Practice: A Post Hoc Analysis of the BRIGHTEN Study. Nephrology (Carlton). 2025 Oct;30(10):e70140. doi: 10.1111/nep.70140.

URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/nep.70140