ご挨拶

   

 平素より医療イノベーション推進センター(TRI)へご支援、ご鞭撻を賜り、誠に有難うございます。

 

 神戸医療産業都市推進機構は、2023年度より第5期経営計画を新たに策定し、公益財団法人としての事業に取り組んでいます。 医療イノベーション推進センター(TRI)でも、重点活動領域として以下の3つを定めました。

 
(1) 早期段階シーズの育成
(2) 治験・臨床研究の推進・管理
(3) 公益性の高い事業の推進
 

 (1) については、2018年度から継続中のJST「戦略的創造研究推進事業のライフサイエンス分野における研究成果の持続的イノベーション創出基盤構築のための調査及び提案」事業やアカデミア・企業の皆様からの研究相談を通じて、医学系以外の基礎研究技術も含めた早期段階シーズの実用化に向けた支援に注力して参ります。各シーズの支援に加えて、AMEDや橋渡し研究拠点、異分野融合型研究拠点とも連携を深め、ライフサイエンス系の基礎研究課題を円滑に医療展開に繋げていく体制整備にも微力ながら貢献したいと考えています。

 

 (2) は、TRIが従来から重点的に取り組んできた領域ですが、最近では全国の大学病院・基幹病院の研究者の皆様から医師主導治験や特定臨床研究への支援のご依頼が増加しています。臨床研究中核病院やそれに準じたアカデミアで臨床研究活動が活発化していることの顕れかと拝察しています。また、学会・研究会による観察研究、レジストリへの支援に関するご相談もコンスタントにいただいており、Academic Research Organization (ARO)の使命の一つとして取り組んでいます。このほか、臨床試験支援に限らず、医療開発戦略全般に関して、製薬企業やベンチャー企業の皆様からご相談をいただく機会が増えています。TRIでは、このような医療研究開発に関する多様なニーズにお応えできるよう、さらにサービス体制の拡充と業務品質の向上に努めていきます。その一例として、独自に作成・提供してきた臨床試験データ入力システムeClinical Base®︎の刷新に今年度から取り組み、ユーザーである研究者の皆様へ更に使いやすい環境の提供を目指します。

 

 (3) は、公益財団法人に所属する組織として、またAROとしての重要なミッションです。これまでも行政機関が保有する医療・健康関連ビッグデータの活用に取り組んできましたが、さらに多くの関連研究で成果をあげていきたいと考えています。また、日本医師会治験促進センターが運用されてきた「新治験計画届作成システム」事業を本年4月1日からTRIで引き継ぎました。昨年度までTRIも本システムのユーザーの一員でありましたが、治験促進センターの廃止に伴い本システムが使用できないことになれば、全国のアカデミア医療機関、ベンチャー企業、製薬企業等への影響が甚大であると考え、IT技術部門と開発薬事部門を有する弊センタ―が対応させていただくことを決断した次第です。詳細は、本ホームページ内* でご確認いただきたく存じますが、アカデミアからの医師主導治験、製薬企業等からの企業治験の計画届作成に役立てていただけましたら幸いです。

* : https://www.tri-kobe.org/ctn/

 

 以上の重点活動領域に加えて、従来から開発に関わってきた医薬品・再生医療関連製品等の承認申請・市販後調査の支援や希少疾患に関する情報発信(Orphanet Japan)・臨床研究支援などにも、引き続き取り組んで参ります。

 

 医療研究開発の発展を目指したTRIの活動に対しまして、今後ともご高配賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2023年5月吉日
センター長 川本 篤彦