2023.05.25
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【論文】既治療進行非小細胞肺がんを対象としたベザフィブラートとニボルマブの併用治療の第Ⅰ相医師主導治験(TRILC1665)の結果に関する論文がSCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE誌に掲載されました(共著者:TRI小島伸介、竹綱正典)。

 
九州大学病院呼吸器科 岡本勇先生、田中謙太郎先生、京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学 茶本健司先生らがまとめた、既治療進行非小細胞肺がんを対象としたベザフィブラートとニボルマブの併用治療の第Ⅰ相医師主導治験の結果に関する論文が、SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE誌に掲載されました(共著者:TRI 医療開発研究グループの小島伸介、医学統計グループの竹綱正典)。
本医師主導治験は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-γコアクチベーター1α/ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体複合体のリガンドであるベザフィブラートがT細胞のミトコンドリアを活性化し、PD-1阻害薬と相乗的な抗腫瘍効果を示すという京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学 茶本健司先生のマウスの研究結果を基に、ベザフィブラートとニボルマブの併用治療の安全性を評価することを目的としていました。
主要評価項目は、DLT(用量制限毒性)発現割合であり、この併用治療は忍容性が良好であることを確認しました。事前に計画された血漿代謝物および末梢細胞傷害性T細胞における遺伝子発現の包括的な分析により、ベザフィブラートが脂肪酸酸化を含むミトコンドリア代謝のアップレギュレーションを通じてT細胞機能を促進し、それによって応答の持続時間を延長した可能性があることが示されました。したがって、T細胞代謝を標的とするこの併用治療は免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍活性を持続させる可能性があり、さらなる検証が必要と考えられました。

TRIは本研究において、プロトコル開発支援、データセンター、統計解析、総括報告書作成支援を担当しました。

How to cite this article:
Tanaka K, Chamoto K, Saeki S, Hatae R, Ikematsu Y, Sakai K, Ando N, Sonomura K, Kojima S, Taketsuna M, Kim YH, Yoshida H, Ozasa H, Sakamori Y, Hirano T, Matsuda F, Hirai T, Nishio K, Sakagami T, Fukushima M, Nakanishi Y, Honjo T, Okamoto I.
Combination bezafibrate and nivolumab treatment of patients with advanced non-small cell lung cancer. Sci Transl Med. 2022 Dec 14;14(675):eabq0021. doi: 10.1126/scitranslmed.abq0021.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36516270/