2022.03.16
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【学会発表/講演】第21回日本再生医療学会総会にて「自家CD34陽性細胞移植による難治性骨折治療」について一般講演で発表されます。

【学会発表/口演】第21回日本再生医療学会総会にて「自家CD34陽性細胞移植による難治性骨折治療」について、川本篤彦(TRIセンター長)を共同演者として一般口演で発表されます。

※自家CD34陽性細胞移植による難治性骨折治療はTRIの支援研究です。

【発表概要】(敬称略)
セッション名: 一般口演 23「臨床応用」
セッション日時:2022年3月19日(土)13:20~14:20
演題番号:O-23-1
演題名 :自家CD34陽性細胞移植による難治性骨折治療 -医師主導治験の報告-
発表者 :新倉 隆宏
発表者所属:神戸大学大学院 整形外科
共同演者:福井 友章1, 大江 啓介1, 安田 義2 , 渡部 欣忍3 , 田島 吾郎4, 土井田 稔4, 山本 哲司5 , 川本 篤彦6 , 黒田 良祐1
所 属 :1神戸大学大学院 整形外科,
   2神戸市立医療センター中央市民病院 整形外科,
   3帝京大学 整形外科,
   4岩手医科大学 整形外科,
   5香川大学 整形外科,
   6神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター

抄録:
難治性骨折に対して臨床で実用可能な骨癒合(骨折治癒)促進手段は限られており、新たな骨癒合促進療法の開発が切望されている。我々はCD34陽性細胞を利用した再生医療を難治性骨折の新規治療法として開発すべく研究を進めてきた。まず動物実験で難治性骨折モデルにCD34陽性細胞移植を行うと血管形成、骨形成の両面から骨癒合が促進されることを確認した。この成果をもとに臨床応用へと進み、第I・II相臨床試験を7例を対象に実施し、その安全性を確認した。さらに難治性骨折患者にCD34陽性細胞移植を行うと既存治療よりも骨癒合が加速されることを示した。続いて、承認申請を目標とした医師主導治験を2016年6月から2020年12月に、25例を対象として実施した。全症例で骨癒合が得られ、安全性において問題となる事象は無かった。主要評価項目とした、脛骨骨幹部難治性骨折の治療介入後骨癒合までに要する期間は、CD34陽性細胞移植群(99.5± 47.7日)の方が既存治療群(156.2 ± 38.8日)よりも有意に短かった。既存治療群に対するCD34陽性細胞移植群の累積骨癒合率のハザード比は2.81(Log-Rank検定p=0.016)であり、有意な有効性が示された。CD34陽性細胞分離機器は、厚生労働省が施行する先駆け審査指定制度の指定を受けている。臨床で実用可能な骨癒合促進治療が少ない現状、新たなブレイクスルーとなり得るこの新しい再生医療の実用化が近付いている。