2021.12.02
ニュース
【学会発表/シンポジウム】河野健一(TRI 副センター長)が第42回日本臨床薬理学会学術総会において「認定CRC制度の現状と課題‐新たな取り組みへの期待」について発表を行います。

CRC(Clinical Research Coordinator、臨床研究コ-ディネ-タ-)とは?


臨床研究を実施する医師、製薬企業(依頼者)やご協力いただく被験者の支援、医療機関内の多部署との連携など、臨床研究の実施に必要な調整役としての専門職です。

【発表概要】
1-S11 シンポジウム
   日本臨床薬理学会が取り組む人材育成:日本の臨床研究推進のために
日時 :12月9日(木)第5会場(会場棟 白橿2)
演題 :認定CRC制度の現状と課題‐新たな取り組みへの期待
発表者:河野健一
    (公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター)
内容 :
 およそ20年前、国際的な合意に基づくGCPの導入による信頼性が確保された治験実施体制の構築のため、CRCの支援が必須要件となり、国、職能団体並びに各機関でCRCの養成研修が開始された。今や、わが国の治験が国際的に認められるレベルへ高度化したことに、CRCの貢献が不可欠であることは誰もが認めることである。そこに、実務経験を重視した本学会の認定CRC制度が寄与したことは言えよう。わが国の制度上、CRCはいわゆる3階部分の治験を支援することが中心とされていたが、当初から2階の臨床試験や土台となる臨床研究を含めた支援を行うことが本来の役割であることは望まれていた。実際、臨床研究法の施行や倫理指針の制定により専門家の関与が必須となり、CRCが臨床試験・観察研究において、求められる品質に応じてリスクに基づく支援をすることは当然となってきている。
 一方、国際的な潮流から、アカデミアにおける医療の研究開発を担うため、わが国においてもAROの整備が進められてきた。現在、臨床研究中核病院を拠点とした基盤が構築され、特に先進的な技術を用いた医療シーズの開発や、より安全性を確保し有効性を高めるための組み合わせによる新たな治療法の開発等、国際水準の研究に基づくエビデンス創出が進められている。医師主導治験をはじめとした研究者主導臨床試験においては、CRCが実施の支援のみならず企画や運営のマネジメントを担っている。また、スタディマネジャーや研究倫理に関わる各専門職等へステップアップし、AROを構成する専門職として数多くの認定CRCが活躍していることは言うまでもない。
 専門職に期待されることは、培った調整能力を活かして研究者と各専門家との橋渡しをし、目的に応じて適正かつ最速の手順を示し、さらには社会との協働や産学連携による研究成果の最大化を導くことである。そこに求められるのは、最新の医療や臨床開発の知識と技術に基づき、科学に立脚した思考と行動であり、CRCが身につけるべきスキルとはステージが異なる。既にAROのマネジメントや研究グループの委員など、研究基盤の強化に必須の存在となっているものの、その専門性を保証する制度はない。医療開発を推進するための人材を育成し、研究の質を確保するため、実務経験を重視した認定CRC制度とは別に、新たな専門職としてその能力を認定する制度が求められる。本学会の役割として、新たな取り組みに期待するところである。
 
【学会概要】
学会名:第42回日本臨床薬理学会学術総会
会 期:2021年12月9日(木)~11日(土)
    (ライブ配信)2021年12月9日(木)~11日(土)
    (オンデマンド配信)2021年12月20日(月)~24日(金)
会 場:仙台国際センター〒980-0856 宮城県仙台市青葉区青葉山
    ハイブリッド開催
URL :https://site2.convention.co.jp/42jscpt/index.html

※展示会場において、医療イノベーション推進センターのブースを出展しています。