2021.10.07
ニュース
【学会発表/パネルディスカッション】川本篤彦(TRI センター長)が第62回⽇本脈管学会総会において、CD34陽性細胞移植による血管再生治療ついて発表を行います。

CD34陽性細胞とは?


CD34陽性細胞は骨髄や血液中に存在する未分化な細胞で、血管の閉塞した臓器や組織に移植されると、血管を形成する細胞になる能力があると考えられています。


【発表概要】
プログラム:(パネルディスカッション4)血管再生医療の現状と課題
タイトル :CD34陽性細胞移植による血管再生治療
発 表 者:TRI センター長 川本篤彦
抄   録:
CD34陽性細胞移植による血管再生治療は、全身の血管疾患のみならず、血行不全を背景とする他領域疾患に対しても臨床適用が試みられている。
  当グループでは2003年に慢性重症下肢虚血(CLI)患者17例を対象として、G-CSF動員CD34 陽性細胞の下肢筋肉内移植の第I/IIa相臨床試験を開始した。細胞移植後に下肢虚血所見(足趾/上腕血圧比、経皮酸素分圧、歩行距離等)の改善、潰瘍サイズの縮小、安静時痛の軽減が認められ、これに伴い全例で下肢大切断を回避した。CLI離脱率は、細胞移植後に経時的に上昇し、1年後で88%の高率であった。2008年からは、再生医療領域で本邦初の医師主導治験を開始した。全11例へのCD34陽性細胞治療が安全に施行され、このGCP準拠試験でも先行試験における良好な成績がほぼ再現された。上記の成果を踏まえ、本細胞の再生医療等製品としての薬事承認を目指した多施設共同ランダム化比較試験を2016年末から実施中である。本治験製品は、2018年に厚生労働省による先駆け審査指定品目となり、今後の開発に期待が寄せられている。
 また、本年から慢性期脳梗塞に対するCD34陽性細胞治療の医師主導治験を開始し、その成果が注目されている。この他、難治性骨折に対する同細胞治療の医師主導治験が本年終了し、primary endpointを達成した。今後の薬事承認申請が期待される。


【学会概要】
学会名:第62回⽇本脈管学会総会
会 期:2021年10月14日-16日(現地) / 10月14日-11月14日(アーカイブ配信)
会 場:ロイトン札幌
URL :https://www.congre.co.jp/62jca2021/index.html