これまでの認知症評価

認知症の重症度の評価は、認知機能、行動・心理症状、日常生活動作などを総合的に評価して判断する必要があります。
しかし、これらの症状を評価する神経心理学的検査はそれぞれの分野毎に使い分ける必要がある上に、これらの検査の実施には専門的な評価者訓練が必要な場合があります。

また、殆どの評価スケールが海外で開発されたものであり、日本語版を翻訳等に十分に配慮して作成されていなかった可能性があります。
そこで、アルツハイマー型認知症診療時に専門医のみならず、非専門医及び医師以外の医療従事者でも10分程度の短時間で簡便に評価できるスケールとして本邦で新しいスケールを開発しました。

ABC認知症スケールの臨床評価

このスケールは日本の研究者によって開発されたアルツハイマー型認知症の患者の重症度を評価する13項目の質問で構成された純国産のスケールです。各項目のスコアを用い、TRIが開発した計算アルゴリズムによりアルツハイマー型認知症の重症度を評価します。

これまで、延べ739例を対象とした臨床研究によって、このスケールについて以下のことが示されました。
なお、このスケールの開発は、教育・心理スケールの開発で用いられる項目反応性理論に基づいて実施しました。

  • 評価者が専門医のみならず、非専門医及び医師以外の医療従事者でも一致性を持って評価できる指標(評価者間信頼性)である。
  • 評価者が同一患者を繰り返し判定しても同じ結果が得られる(評価者内信頼性)。
  • 13個の指標は認知症の構成概念である認知機能、日常動作、行動心理機能の3つのドメインに分解される(構成概念妥当性)。
  • MMSE、NPI-D、DAD、CDR等の他の認知症の診断指標と並存妥当性が確認された。
  • 12週間の認知症患者の変動の観察からMMSE、NPI-D、DAD、CDRと同等の反応性が認められた。
  • スケールの評価に要した時間は10分程度である。

これらの結果により、本スケールがアルツハイマー型認知症の診断・治療に有益な指標となりえる可能性が示されました。なお、結果の詳細は、学会および論文で公表されています。

ABC認知症スケールのお申し込みについて

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(注意事項)
  • 本スケールは、約1300例を対象とした臨床研究によって妥当性研究を実施し、各質問と挿絵が認知症の重症度を判別できると結論付けました。
    そのため、本スケールを改変すると統計学的な評価結果を再現することができないため、文言・挿絵の改変・削除等を行わずにご使用ください。
  • ABC認知症スケールは「電子版」と「印刷版」をご用意しております。いずれの形態でも、下記4点を含みます。

ABC認知症スケール評価セット 送付内容

  • ABC認知症スケール
  • スコア集計シート
  • 使い方説明チラシ
  • 評価用ガイダンス

お問い合わせ先

公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター
ABC認知症スケール担当
〒650-0047 神戸市中央区港島南町1-5-4
E-mail:abc_scale(あっと)tri-kobe.org
「ABC認知症スケール」と「ABC Dementia Scale」は、公益財団法人神戸医療産業都市推進機構が所有する商標です(商標登録第6016826号、商標登録第6016827号)。また、ABC認知症スケールは、著作権で保護されており、ABC認知症スケールの一部または全部の複写・複製および無断改変を禁じます。